失う事が人生なんて切ない現実なんてことも、実感の身の上です。
それでも、飲み込まれてひがみ根性など生み出しては居ない筈です。
分相応、自らの歩幅も知るからでしょうし、離した手には必ずそれ以上が掴めることを知るからでしょう。
ギリギリのところで垂らされる観音様の紅い糸です。
こんなことも何度も経験すると、確信に変わると思い込むのも心底甘く出来ているからでしょう。
人間なんで都合良い方を選び、信じたいものですから。
90歳までは、元気そのものの亡き母でしたが、そろそろ最後の写真を撮っておいて欲しいと美容院から戻って来た時に言われたものでした。
連載:美しき世界