増上寺界隈散歩 -応挙と月僊の絵軸を 妙定院-

氷雨、というのはちょっとオーバーかもしれないが、冷え込んだ曇り空から細かい雨が降り始めていた。JR浜松町駅を降りて増上寺の方へ向かう。40年ほど前に流行った唄を思わず唇に乗せる。「外は冬の雨 まだやまぬ この胸を濡らすように・・・」
増上寺の山門前を左に折れてしばらく歩く。こちらの方にはあまり来たことはなかった。
「宝暦3年(1763)9代将軍家重を開基とし、三縁山増上寺46世妙誉定月大僧正によって開創され、増上寺の別院として」と東京都教育庁が発行している絵葉書を戴いた塔頭「妙定院」で丸山応挙と定月師の弟子であり、画の方では応挙に師事した僧月僊(げっせん