酉の市道行く人の賑わしさ

 おかめ笑むほどの福請ひ酉の市  林昌華

 お多福の一人笑や酉の市  酒井土子

 お酉樣の熊手飾るや招き猫  酉の市 正岡子規

 しもたやのにはか商ひ酉の市  藤井青杖子

 だんだんに顔が灯に浮き酉の市  深見けん二

 どぜう屋に老の気勢や酉の市  本郷和子

 ひとの家を更けてたちいで酉の市  石田波郷

 ぶつかられ躰くるりと酉の市  高澤良一 燕音

 めッきりとことしの冬や酉の市  久保田万太郎 流寓抄

 もういっぽん先の道だよ酉の市  高澤良一 燕音

 飴を煮てなまあたたかき酉の市  斉藤夏風

 境内に迷路をなして酉の市  砂長