読書日記 『アミターバ』玄侑宗久

 アミターバ。すなわち無量の光。あるいはアミターユス。ようするに阿弥陀さん。
 玄侑宗久さんはこの阿弥陀さんを次のように著している。

「無数の光が交差していた。それはさまざまな角度に散乱しながら、針のように、霜柱のようにそそり立つ。光と闇の境界ちかくには、まるで光の影のような気配を感じるが、光に影などあるはずもないと思う。無数の光は全体として浮遊しながら水面そのもののように広がり、ある厚みで視野いっぱいに張りつめている」

難治の肝内胆管癌患者である〈私〉の目をとおして描かれる「臨死の景色」は、不思議なほど私たちを納得させる。たぶんこんなふうにして人は