「流転の海」(第3部 血脈の火)は人間の世俗を描く

 宮本輝著「流転の海」を読んでいる。全9部のうち、やっと3部まで読了した。
 あとがきに、第1部を描き出したのが35歳のときだったので、第3部を上梓するのに14年余の年月を要したことになる、とある。
ー発表誌「新潮」1993年1月号~1996年2月号(27回連載)とある。
1996年9月15日発行 宮本輝著 新潮社
ーあと1か月ほどで小学生になる松坂伸仁は、近江丸というポンポン船に、窓辺から身を乗り出して手を振った。
 その3年後、伸仁が小学3年生の時、この近江丸が、近江丸の女房が、夫との諍いで火をつけて、近江丸を燃やしてしまう。夫と乳飲み子は亡くなった