宮本著「流転の海第5部花の回廊」は伸仁小学6年の生活を描く

「流転の海」第5部花の回廊 宮本輝著 新潮文庫
平成22年1月1日発行
ー「まあ要するに、わしという人間は大事なところで横着になるんじゃ」
「わしは金貸しやあらせんのじゃ。じゃけん、金を貸したら、くれてやったと思うちょることじゃ。返しに来んのは、ないからじゃ。ないやつに返せと迫ってもしょうがあるかや。返してもらわにゃあこっちが生きていけんような金は貸さんことじゃ」
「本物の侘数寄者じゃっちゅう、その1点だけで十分じゃ」
 未熟児で生まれたあのひ弱い赤ん坊が、大きゅうなったもんじゃ。心なき身にもあはれは知られけり鴫立沢の秋の夕ぐれ、っちゅう西行の歌が多少は