未来の自分からの手紙

 湊かなえの「未来」を読了した。著者は「イヤミスの女王」と呼ばれるミステリー作家で、デビュー作の「告白」で、2009年第6回本屋大賞を受賞している。本書は、10歳の少女達にある日突然届いた20年後の自分からの手紙に始まるミステリーである。本書は、主人公である佐伯章子の日記と、彼女の親友の亜里沙、彼女の小学校時代の担任教師の篠宮真唯子、および彼女の父親の良太のエピソードで構成される。
 愛する父親を癌で亡くしたばかりの10歳の小学生の章子の許に、ある日一通の手紙が届く。その手紙の書き出しは、「こんにちは、章子。わたしは20年後のあなたです」で、手紙には20