岸本葉子「おひとりさまのはつらつ人生手帖」

 著者の岸本葉子さんの文章は日経の夕刊で毎週愛読している。著作も読んでみようと思って、手に取ったのが本書である。今から10年以上前の著作だが、著者も40代半ば頃。マイペースでもたれ合いが嫌いで、自分が「仲間」という言葉を使うと、これが自分の言う言葉かとぎょっとしたりするという件がある。文章から、当時の著者はまだ自分はこうであるというやや生硬な捉え方をしていた感がある。現在の著者の文章はそこから一皮剥けて、自然体で素の自分をさらすことに抵抗感はないように感じる。自分も似た傾向があり、男女の違いはあるが、同世代の親近感を覚える。

 本書ではひとりでもはつら