寒星の冴えて輝く枕辺に 

 寒星と発つ灯と着く灯エアポート  嶋田摩耶子

  寒星にたどりつきたるひとり旅  鈴木六林男

  寒星にどの夜もどこかに雲白し  篠原梵 雨

 寒星に出でしが薪を抱へ来し  猪俣千代子 秘 色

 寒星に懐中燈を向けて照らす  右城暮石

 寒星に見透かされたる吾が虚勢  田村一翠

  寒星のひとつを引きてわが燈火  岡本眸

  寒星のむらがれる邊の枯野に似  橋本鶏二

  寒星の一つを父の星と決め  南 桂介

  寒星の光髪膚にほとばしる  内藤吐天 鳴海抄

 寒星の天の中空はなやかに  山口誓子

  寒星の弾ける音す手術室