「長流の畔」(流転の海第8部)では妻の房江の生きざま描く

「長流の畔」(流転の海第8部) 宮本輝著 新潮文庫
平成30年10月1日発行
この作品は平成28年6月新潮社より刊行される。
ーだが、あのとき、商売をひろげようとしない経営者がいただろうか。どれもこれも、俺が自分から望んで求めたのではない。いかんともしがたく、そうなってしまったのだ。
 俺が犯した失敗は、博美の体に再び手を出したこと。それだけだ。たったそれだけだ。
 房江のへそくりを、天から降って来た突然の恵みのようにありがたく感じた。
 時代がどう変わっても、中国の華僑たちが世界で生きていき、中国そのものを陰で支える力を持ちつづけているのは、彼らが子弟