菜の花の沖、第3回です。船の話

菜の花の沖、第3回です。

高田屋嘉兵衛さんの話をつづけたい。
高田屋は、江戸中期の商社であり、海運業者であり、さらに北洋漁業もしていた。
兵庫の港を出て瀬戸内を進む北前船で運ぶ商品は、灘の酒、赤穂の塩、伊予のかすり、鬢付けなどであり、
各地で物産を仕入れた。鬢付けは、ちょんまげや島田をきれいに整えるための整髪料である。

瀬戸内から日本海沿岸を回り、北海道まで行く。当時は蝦夷地という。ゴローウニン事件の頃、蝦夷地は、
幕府が直接治める直轄地であった。ロシアの船が蝦夷地あたりに盛んに姿を見せるため、
幕府は、北の防備を強化し直接警備した。幕府の奉行所を設