連載:絵画

まなざし (デッサン)

ある生徒さんは、お孫さんの表情をデッサンしたいという希望で、一緒に描いている。このごろ生徒さんも細やかなお孫さんの表情を写し取ることができるようになり、ご自身でも満足げな顔を見せた。

いつもデッサンをしていて思うことだが、あるところまではモノを真似ている段階があって、さらにものごとの本質に迫るような描き込みをするうちに、ある瞬間、描いたものが独立した個性を携えて立ち上がってくる現象が起きる。なにか生命をもち始めたような感覚に襲われる。画家の仕事はそれで終わる。それ以上は余計なことになる。

画像は、生徒さんと一緒に描いた鉛筆デッサン。もとは小さなスナッ