小説 フリードリンクカフェ 第48話 本当の英雄


 山田の心配をよそに、開場時間前に既に入り口には行列ができはじめていた。

 経理と受付の責任者になっていた山田は、事前申込事前支払い、事前申込当日支払い、当日申込と、3つの受付を用意していた。

 迷いながら問い合わせてきた当日申込者に対応したのがきっかけで、開場時間をフライング気味に受付が始まってしまった。

 受付はてんやわんやになった。

 悲観的な山田の予想に反して、当日組みが圧倒的に多かった。

 結果ホールは満席になった。


 数時間前、大塚が「足りなくなったら使ってください」といって10万円の入った封筒を渡していた。大塚は自腹を切る覚