連載:日常3

「苦くて甘い」

4時に仕事が終わり、外に出る。自転車に跨った。今日も疲れた。Toshiがアンジェラ・アキの「手紙-拝啓十五の君へ」をカバーしている。

「今負けそうで泣きそうで
消えてしまいそうな僕は
誰の言葉を信じ歩けばいいの?」
サビだ。一緒に歌うオカン。

「大人の僕も傷ついて
眠れない夜はあるけど
苦くて甘い今を生きている」


今日はお風呂が嫌いな婆様が入った。それは嬉しいが、その前に何とも「苦くて甘い」光景を見た。お風呂の声掛けをしようと居室の戸を開けると、婆様が部屋の手摺に摑まって立ち上がる運動をしていたのだ。初めて見る。婆様は歩けず、車椅子で動き回ってい