篠綾子 の 青山に在り

★3.4 「家青山に在り、道自づから尊し」は漢詩の一節で、「己のいる場所を死所と定めて懸命に生きよ、そうすれば人生はおのずから尊いものとなる」という意。

慶応4年(1868年)6月、新政府軍に恭順し、迫る旧幕府軍に抗して富津陣屋(千葉県)の警備にあった前橋藩国家老の小河原左宮が自刃した陰には、左京、時蔵の双子の兄弟の出生に絡む物語があった。

国家老の息子・左京は農民相手の道場で自分とよく似た顔立ちの時蔵と出会う。2人は赤子の時に拾われそれぞれ別に育てられていたのだ。

結末はちょっと後味が悪い、もっと別の決着はなかったのか。せっかく左宮が左京の両親の