春長閑ひねもす居間にくつろいで


 終日や鳴子鳴りては雀飛ぶ  柳川春葉

 終日を鳴く木となりぬ法師蝉  鷹羽狩行

 終日逃げるここらあたりがカチカチ山  阿部完市

 春の海終日のたりのたりかな  蕪 村

 春の川終日濁し囚徒去る  飯田龍太

 春雨や終日朱熹の額の下  山口青邨

 春尽くる海や終日杭打たれ  岸本マチ子

 障子終日ひらくことなき牡丹かな  橋閒石

 醒めぬ眼を終日持てり梨の花  鍵和田[ゆう]子 未来図

 石臼に終日氷浮いている  林 政子

 雪なき田見えて終日落着けず  中川博秋 『加賀野』

 雪終日妻より母へ言多し  大野林火 白幡南町 昭和