連載:日常3

「来年も必ず」

「桃太郎」が二鉢咲いている。リビングからよく見える位置に移動した。白地に赤い線が入った「イカリ紋」も、今年初めて一輪咲いた。


ジョギングクラブの日だった。久しぶりに遠い森まで走った。先に着いていた仲間は私達を待っていて、女子4人で復路を走り出した。よく喋った。よく笑った。

私は追いついて行けず、最後になった。もっと遠くまで行った仲間も追いついて来て、私を追い越して行った。

歩道を歩く女性を追い越す時、声を掛けたくなった。
「60になって走り出したんです。頑張りましょ。」
女性は杖を突いていた。

追い越してから思った、私が追い越せるのは歩いている