昭和ノスタルジー・Ⅳ

  天使の成人式



小さな花かごを持って私は病室のドアを開く

君は涙ではらした目で私を見る

こわれそうな微笑をうかべ呟くように言った

「わたし しっぱいしちゃった」

私は黙って君を抱きしめた

私の胸に顔をうずめ君は肩を震わせて声を上げ

「ごめんなさい ごめんなさい」とくり返した

私は君をこの胸に押し込めてしまいたいと腕に力を込めた

「君のせいじゃない 全ては神様の決めた事だ」

「今は身体を治して、元気になって」

「今度は元気な子供をうもう」

君は胸の中で何度もかぶりを振った



それから私たちは三人の子供を授かった

皆優しく