鶯や華麗に鳴いて春模様


 きき酒に酔ひて心は春の色  田阪千恵子

 なんとなく今日から春の色の空  小林しげと

 みちのくに春色おそし牧の草  炎天

 みづうみのかなた寄せくる春の色  佐藤美恵子

 春の潮碧く海峡流れゆく  アロマ

 暮れかかる雲の端に見し春の色  退蔵

 母の背へ庭木春色漂はす  原裕 葦牙

 名の寺の春の色なる花菜漬  角川春樹

 夕暮の色を増しつつ春の鳥  廣瀬直人 帰路

 洛陽の春色動く埃かな  春 正岡子規

 欄前の春色闌けぬ青柳  日野草城

 柩かこむ春の百花に喪の色なし  内藤吐天 鳴海抄

 頷くや獏のぬた場の春の色