初夏の光の揺らぎに身を委ね


 ばら五月女に彩を著る楽しさ  大橋敦子

 なんだつてできる気がする五月かな  森田美智子

 わがつけし傷に樹脂噴く五月来ぬ  木下夕爾

 工場の愛しあう煙五月くる  寺田京子 日の鷹

 雹降る五月の異常気象かな アロマ

 教室の画鋲の光る五月来し  中川忠治

 旅の歩を砂丘に残す五月かな  山内山彦

 マチスの朱身に欲り初夏の風の中  上野さち子

 庭下駄に足のせ初夏の縁に腰  星野立子

 初夏の光の揺らぎに身を委ね アロマ

 樫若葉夏はじめての雲が湧き  中村汀女

 江戸絵図の堀の藍色夏はじめ  木内彰志

  汲み置きの水き