太田道灌と北条早雲

 峰岸純夫の「享徳の乱-中世東国の「三十年戦争」-」を読了した。著者は東京都立大学名誉教授、元中央大学教授で、専門は日本中世史である。本書では、鎌倉公方足利成氏が関東管領の上杉憲忠を誅殺した事件を発端として東国で起こった「享徳の乱」が、結局は京に飛び火して「応仁・文明の乱」を誘発したことが論考されている。
 著者は本書の冒頭で、彼の長年の持論である以下の二点を力説しており、関東で起こった戦乱を著者が「享徳の乱」と命名した理由が述べられている。その中で著者は、狂言回しとして、古河公方と上杉氏(足利幕府方)の間を向背定まらずに動き回った上野の豪族新田岩松氏を