昔は一升瓶で醤油買う



 裏山に笹鳴殖やし醤油蔵  冨田みのる

 路地に冬醤油の匂う風が好き  白石みずき

 啼き声の日雀来てをり醤油蔵  森 澄雄

 朧夜の醤油壜の跡まんまる  鈴木鷹夫 春の門

 蕣の井の輪組也醤油樽  仙化

 夏燕醤油の香ある野田銀座 奈良比佐子

 花大根川の向うの醤油蔵  平井きい子

 階段の下の夜明の醤油瓶  金子 晉

 魚狗来醤油つくる頃なれば  田中冬二 若葉雨

 極寒のこくんと一つ醤油の音  高澤良一 宿好

 昔は一升瓶で醤油買う  アロマ

 十五夜の醤油とくとく匂ひけり  岡本眸

 雪晴や小皿にとりて醤油の実  長谷