単線の客車に一人冬の海 今田利子 単線の古びし駅舎布団干す 添野光子 山陰の単線に一両列車来る アロマ 地の果てに鉄路の消えて雲の峰 徳永敬二 稚内鉄路の終の月見草 加瀬美代子 鉄路直に信濃追分のをとこへし 及川貞 踏切に遮断機降りてバス止まる アロマ 鶯餅鉄路の雨はややしぶく 友岡子郷 遠方 翡翆のかすめし鉄路梅雨の中 百合山羽公 故園 …
小葱と和布の味噌汁卵懸け アロマ きりぎりす鳴いて粗食のすすめかな 長谷川双魚 『ひとつとや』 雲水の粗食を習ひ冬の鯉 後藤比奈夫 寒麦へ粗食の糞を撒き散らす 右城暮石 句集外 昭和三十年 吾のみか粗食の目腫れ鋼(まがね)打つ 佐藤鬼房 粗衣粗食なりし人類はるいちばん 正木ゆう子 静かな水 粗衣粗食七十二年の花大根 鈴木すなを 粗衣粗食恙なき日々蕪…
裏山に笹鳴殖やし醤油蔵 冨田みのる 路地に冬醤油の匂う風が好き 白石みずき 啼き声の日雀来てをり醤油蔵 森 澄雄 朧夜の醤油壜の跡まんまる 鈴木鷹夫 春の門 蕣の井の輪組也醤油樽 仙化 夏燕醤油の香ある野田銀座 奈良比佐子 花大根川の向うの醤油蔵 平井きい子 階段の下の夜明の醤油瓶 金子 晉 魚狗来醤油つくる頃なれば 田中冬二 若葉雨 極…