永田耕衣の俳句

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永田耕衣の俳句
俳人。本名軍二(ぐんじ)。別号、田荷軒主人。禅的思想
に導かれた独自の俳句理念に基づき句作。また諸芸に通じ
書画にも個性を発揮、90歳を超えた最晩年に至るまで旺盛
な創作活動を行った。
【俳句】
夢の世に葱を作りて寂しさよ
朝顔や百たび訪はば母死なむ
後ろにも髪脱け落つる山河かな
泥鰌浮いて鯰も居るというて沈む
死螢に照らしをかける螢かな
かたつむりつるめば肉の食い入るや
少年や六十年後の春の如し
赤とんぼ死近き人を囲み行く
雨蛙めんどうくさき余生かな
よぼよぼの虻を看とらぬ地球哉
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池の鯰逃げたる先で遊びけり