阿久悠著「歌謡曲の時代ー歌もよう人もよう」を読む

「歌謡曲の時代」阿久悠著 新潮文庫
平成19年12月1日発行
ー2007年8月逝去
 昭和と平成の間に歌の違いがあるとするなら、昭和が世間を語ったのに、平成では自分だけを語っているということである。
 平成の人間には支えきれない重さと大きさに、歌謡曲はなってしまったのだと誇ることにしているのである。
 それに比べて歌謡曲は、定型や様式から解放され、逆にいえば、永久に伝統芸となり得ない、常に生もののようなところがあって、それが魅力だった。
 洋楽的サウンドに日本的メンタリテイの情緒の詞を付けたり、その逆に、ウエットなメロデイに乾いた詞を付けることもある。た