《書評》『名文で巡る国宝の観世音菩薩』青草書房(seisou大人の図書館シリーズ)

前回の《書評》で書いた『日本人と仏像』で、時代の情勢によって人々の仏像の見方が変遷していくことに興味を持ったぼくは、次に、戦後に活躍したいろんな人たちの仏像の見方を覗いてみたくなりました。

さて、仏像のラインナップとしては法隆寺を中心とした奈良の寺院がメイン。
哲学者の和辻哲郎、随筆家の白洲正子をはじめ、書家の榊莫山、美術史家の岡倉天心、詩人の高村光太郎、小説家の井上靖などなど、いろんな感性を持つ人たちが、いろんな有名どころの国宝観音像を熱く語っていて、奈良の仏像が著名人に与えた影響力の大きさを感じました。

ある人は奈良の原風景を交えて、ある人は美術