連載:

「傍にいて」

マリ子さんは部屋から出て来ない。挨拶に行くと随分弱った感じで寝ている。

「おはようございます。よく眠れましたか?」
「眠れたわ。」

「それはよかったですね。朝ごはん食べませんか?」
「食べたくないわ。」

「分かりました。今体調はどんな感じですか?」
「痛いのよ。」
そう言って胸の辺りを抑えている。

数日前から元気がなかった。病院を受診したら信じられないような結果が出た。一番聞きたくない病名だ。

洗濯物を干したり手摺りを雑巾で拭いたり、体を動かすのが好きで、笑顔を絶やさず人と衝突することもない。

何か喉を通りやすいものだけでも食べてもらおう。朝