現代のトキワ荘

 辻村深月の「スロウハイツの神様(上、下)」を読了した。著者はメフィスト賞出身の直木賞作家で、元々ミステリー出身であるが、最近はミステリー以外の分野の作品も多い。本書は著者の初期の作品で、クリエイター志望の若者達の住むスロウハイツでの人間関係を描いた群像小説である。
 人気作家のチヨダ・コーキ(千代田公輝)は、彼のファンで大学三年生の園宮章吾が、集団自殺を装って集めた人間に殺人ゲームを強制し、その映像を公開したため、マスコミの猛烈なバッシングに会い、筆を折らざるをえなかった。しかし、その三年後、彼の復活を願う、後日「コーキの天使ちゃん」と呼ばれるようにな