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昭和時代の思い出⑬

父に8月12日、召集令状が来る。

ソ連が侵攻する前後に父が勤務していた会社の従業員は多くが召集兵となっていた。
会社に配給のメリケン粉があった。配る従業員も数が激減している為に、残ったメリケン粉を馬力(荷車)に積んで隣組の満人宅に配った。その袋だけは返すために空けてもらいすぐに引き返した。

もうこのころは隣組でも、日本の成人した男性はほとんどが居なくなっていた。皆根こそぎ動員で召集されて行った。

残るのは老人か婦女子ばかりであった。
8月12日頃母の所に父の会社の人が挨拶に来てくれた。
「私の所に招集令状が来ました」と言われた。母はおめでとうござい