もののあはれ

ヴァレリー・アファナシエフ。「静寂の中から立ちあらわれる『もののあはれ』を奏でたい」と京都の寺でシューベルトを弾いていた(BSアーカイブス)。アファナシエフは孤高のピアニストである。孤独とともに生きている者だけに許される深くて、澄み切った世界が彼には与えられている。
その彼が高校生の時から日本の文化、能楽、また、古今和歌集、源氏物語に強く魅了されてきたと語る。彼にとって「もののあはれ」とは移り行き、はかなさ、無常観。源氏物語は愛するものとの別れと喪失、仕合せ、不仕合せがまじりあって、それらが切り離せないことを極めて美しい形で表現していると言う。
音楽に休