平成のクロニクル

 葉真中顕の「ブルー」を読了した。著者はライター出身で、「ロスト・ケア」で2012年第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、作家としてデビューしている。本書は、平成という30年間の時代の社会や文化の変遷を描くとともに、平成15年と平成31年に起こった謎の殺人事件を追、捜査員の執念を描いたクライムノベルである。本書は二部構成であり、平成15年12月に起こった殺人事件を描いた第一部の捜査員は、警視庁捜査一課班長の藤崎文吾警部補、平成31年4月に起こった殺人事件を描いた第二部の捜査員は、所轄署である桜ケ丘署刑事の奥貫綾乃と警視庁捜査一課刑事の藤崎司であり