「葉真中顕」の日記一覧

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愛玩動物としての犬

 葉真中顕の「ロング・アフタヌーン」を読了した。著者はライター出身で、「ロスト・ケア」で2012年第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、作家としてデビューしている。本書では、新人賞に落選した女性作家から七年振りに送られてきた長編小説の原稿を読み、戸惑いながらも徐々に女性作家にシンクロナイズして行く女性編集者の姿を描いた心理小説である。  物語は作中作である「犬を飼う」という短編から始まる…

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仁義なき勝ち負け抗争

 葉真中顕の「灼熱」を読了した。著者はライター出身で、「ロスト・ケア」で2012年第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、作家としてデビューしている。本書では、太平洋戦争終了後のブラジルの日本人移民社会で起こった、壮絶な「勝ち負け抗争」が描かれる。  本書は先ず、1991年のブラジルにおいて、とあるライターが呪術師の老婆に、日本人移民社会における「勝ち負け抗争」についてインタビューする場面…

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著者別インデックス:国内(葉真中顕)

1.ロスト・ケア (2013.02)   https://smcb.jp/diaries/5755598 2.絶叫 (2014.10)   https://smcb.jp/diaries/6712798 3.ブラック・ドッグ (2016.06) 4.コクーン (2016.10) 5.政治的に正しい警察小説 (2017.10) 6.凍てつく太陽 (2018.08)   https://smcb.j…

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神様が受託した殺人

 葉真中顕の「そして、海の泡になる-Sea vanishing into Babbles-」を読了した。著者はライター出身で、「ロスト・ケア」で2012年第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、作家としてデビューしている。本書は、バブル経済の破綻とともに、史上最高額の個人負債を抱えて自己破産した、「北浜の魔女」朝比奈ハルの生涯を描いたフィクションである。なお、本書はハルと関わりのあった人達…

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平成のクロニクル

 葉真中顕の「ブルー」を読了した。著者はライター出身で、「ロスト・ケア」で2012年第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、作家としてデビューしている。本書は、平成という30年間の時代の社会や文化の変遷を描くとともに、平成15年と平成31年に起こった謎の殺人事件を追、捜査員の執念を描いたクライムノベルである。本書は二部構成であり、平成15年12月に起こった殺人事件を描いた第一部の捜査員は、…

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警察官の鑑とは

 葉真中顕の「W県警の悲劇」を読了した。著者はライター出身で、「ロスト・ケア」で2012年第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、作家としてデビューしている。本書は、男尊女卑の風潮が色濃く残るW県警初の女性警視へと登りつめ、さらにキャリアアップを目指す松永菜穂子と、彼女の周囲で頑張るW県警の女性警察官を描いた、警察小説の連作短編集である。  「洞の奥」:女性警官の熊倉清巡査の父親の熊倉哲警…

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トリカブトの根から採れるもの

 葉真中顕の「凍てつく太陽」を読了した。著者はライター出身で、「ロスト・ケア」で2012年第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、作家としてデビューしている。本書は、終戦間際の北海道を舞台とし、アイヌの血を引く特高刑事日崎八尋が、陸軍の軍事機密を巡って起こった軍需工場関係者の連続毒殺事件に挑むミステリー小説である。  物語の舞台は、昭和19年(1944年)12月から翌年にかけての北海道であ…

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猫に喰われた女

葉真中顕の「絶叫」を読了した。著者はライター出身で、「ロスト・ケア」で2012年第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、作家としてデビューしている。本書は、平凡な女性が社会から転落し、連続保険金殺人に手を染めるに至る過程を描いたクライム・ノベルである。  物語は、都内のとあるマンションの一室で、変死体が発見された場面で開始される。その死体の女性の名は鈴木陽子で、死体は猫に食い荒らされていた…

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白髪の連続殺人鬼

葉真中顕の「ロスト・ケア」を読了した。著者はライター出身で、本書で2012年第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、作家としてデビューしている。本書は、介護現場で起こった要介護高齢者の連続殺人事件を描いたものである。なお、本書は検事の大友秀樹、秀樹の同窓生で総合介護企業フォレスト管理職の佐久間功一郎、介護職員の斯波宗典、要介護の母親を持つ羽田洋子、および犯人の「彼」の視点で交互に描かれてい…