「線」古処誠二著、大戦下のニューギニアで、死線をさ迷いながらも人間らしく生きようとする兵士!

この小説は、大日本帝国が遂行したアジア・太平洋戦争のニューギニア戦の地獄を描いている。

食糧がつき、マラリアに侵されても、圧倒的に劣る武器を与えられ戦わざるを得ない名もなき兵士。上官から死ぬことを強要されるような下級兵士の地獄を描いている。

短編と中篇の9作が収められた古処誠二の「線」は平成二一年に刊行された。10年近く過ぎたが、戦争の現実を描いた小説として色あせてはいない。

ニューギニア戦で古処誠二が語るのは、「飢餓」と「マラリア」だ。
補給線が延び、食糧が届かなくなった兵士はいつも飢餓状態にある。「腹が減っては戦ができぬ」この言葉に象徴されるよ