アパッチに追われて

 逢坂剛の「最果ての決闘者」を読了した。著者はミステリー畑出身の直木賞作家でるが、「重蔵始末」シリーズや「鬼平」シリーズ等の時代小説も幅広く手掛けている。本書は、箱館戦争で戦死した筈の元新選組副長土方歳三が生きてアメリカに渡っていたという、架空の物語のシリーズ第二作である。
 本書の物語は、1870年5月17日に始まる。ピンキーを撃った連邦保安官のマット・ティルマンは、記憶を失って内藤隼人と名乗っている土方歳三に日本刀で斃される。意識を取り戻した時枝ゆらは、持っていた薬草でピンキーの銃創に応急手当を施し、土方とともにウィロウ・グローブの騎兵隊の駐屯地を目