10、「デラシネの旗」(五木寛之著)は若者の姿描く

五木寛之小説全集(第8巻)「デラシネの旗」 五木寛之著
講談社 昭和55年11月21日発行
ー「21世紀仏教の旅中国編」で五木寛之は、
「1968年5月、フランス5月革命
すぐさま自分が見たパリを舞台に「デラシネの旗」という1篇の小説を書いた。
 と記していた。
 それで、僕は、「デラシネの旗」を読もうと思っていた。
ーおれはジョーを、いや、当時文学部1年の城野理江子という女子学生をかかえて逃げたのだ。皇居前広場から日比谷公園までの道を、頭を割られた女子学生は泣き続けに泣いていた。そしておれたちを拾ってくれた見知らぬ乗用車の運転手は、交番の前を避けながら