緑の亀の木の玩具

 辻村深月の「ツナグ-想い人の心得」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリー出身であるが、最近はミステリー以外の分野の作品も多い。本書は、死者と生者のそれぞれを、希望する者に一度だけ再開させることのできる使者(ツナグと呼ぶ)を描いた、2010年10月刊行の「ツナグ」の続編である。本書は前作から7年経過したとの設定になっており、主人公の渋谷歩美は大学を卒業し、玩具などの木工品の企画:販売を行う会社に勤めている。彼にツナグの仕事を承継させた祖母の渋谷アイ子は、既に亡くなっている。
 ツナグの使命は生者と死者を繋ぐことであるが、死者の言葉を生者に伝えるだけで