18、「背高泡立草」(古川真人)芥川賞受賞作を読む

「背高泡立草」 古川真人作 第62回芥川賞受賞作
(文芸春秋2020、3月号所収)
ー荒れるに任せていた納屋の周りに生える草を刈らなければならないのが、大村奈美には皆目分からなかった。
 奈美は幅広の葉が覆う緑一色の景色から、頭を出すようにして生える草を母に見せながら訊いた。
「これ?背高泡立草。ほら、横の道にも幾らでも生えとるやない。今は夜やけんあれやけど・・・」
 奈美は美穂の言葉を聞きながら、何の気なしに携帯電話で「セイタカアワダチソウ」と打ち、サイトや画像を検索した。確かに美穂の言う通り、納屋の周りに生えているのと同じ草が幾つも画像で表示されてい