君のいる街



   君のいる街


 爽やかな春の朝

 君のいる街へ出発

 軽快にペダルを踏む心地よさ

 道はうねって続く

 若葉は煌めき 花は挨拶をしているよう

 薔薇の生け垣が見えてきた

 君の家は 奥まった洋館

 ピアノの音が聞こえる

 君の好きなシューベルトの曲だ

 優しい音色 時に力強く 雪崩れるような演奏は

 まるで君自身のようだ

 呼び鈴を鳴らすと 「どうぞ」という声

 玄関に飾られた黄の連翹は
 花卉から溢れんばかり

 二人並んで テラスでお茶を飲む
 ハーブティーのほろ苦い味わいとスグリのケーキ

 君の伴奏で歌う メン