「天保枕絵秘聞」(勝目梓著)は会心の官能小説なり

「天保枕絵秘聞」 勝目梓著 双葉文庫
2004年4月20日発行
ー薩摩藩士、小池彦四郎ーそれがかつての淫楽斎の身分であり、氏名だった。
 淫情にどっぷり浸ったままで枕絵を描きつづけることこそがおのれの生きる道と思い定めた。彦四郎27歳の春のことだった。
「女陰と尻の穴の両方に男根が入ってるところを現に見てると、2本の男根が抜き差しされるたんびに、穴と穴の間の蟻の門渡りのところがね、ヒクヒクと動くんだ。その感じを絵に出したくて難儀してたのさ」
 絵の中のお仙は、仰向けになった福助の上におおいかぶさり、中腰の和尚に後ろから腰を抱えこまれている。福助の男根は玉