夕方、部屋に入った同僚に、真剣な顔で語りかけて来るマリ子さん。
「私、ここにいていいの?何もしないでいいの?」
私はちょうど近くにいた。
「いいんですよ。ここが一番安全なんです。」
同僚は新型コロナウィルスの対策を、普通の人に言うように丁寧に説明している。
たとえ、30分後に忘れてしまうとしても、当座の不安を取り除いてやる。それが介護職員の仕事。
マリ子さんはテレビが好きで、その時も部屋のテレビが点いていた。
テレビは朝からずっと新型コロナウィルス騒ぎ。
今や世界中に新型コロナウィルスが行き渡り、感染の中心は欧米のようだ。
東京の桜が咲