「ハッカクレンが芽を出した」
昨日娘宅から帰ってホースで花の水やりをしたが、今朝もする気になった。今度は一鉢一鉢にジョーロで。ハイポネックスも入れて。 昨日は気付かなかったが、山野草のハッカクレンが芽を出している。しかも蕾らしきものを抱いて。 こんな事が心を躍らせる。 13年前に起きた大地震の事を早く目覚めたラジオが伝えていた。 あの時心や体に傷を負った人達もこうした小さな出来事に心を融かしているのだろうか。それとも…
鉄子29さんが書いた連載ニュースの日記一覧
「地震が頻発している」
ここは千葉県北西部。今また揺れた。寝れるうちに寝ておこうと部屋を暗くした。 隣の部屋で娘と孫達は寝た。 昨日は3回かなり揺れたし、深夜の揺れは怖かった。 大きな地震の前は群発地震が起きるらしい。本気で警戒している。 枕元のリュックに衣類を詰め込んだ。水も入れた。
「逆転勝利」
楽しい事は書いておこう。こんな事はもう一生ないかもしれない。 何せもうこれでお終いだと思い、期待など全くしていなかったバッターが打ったのだ。しかもホームラン！二人が塁に出ていたから、３点！同点になった。 ソフトバンクが延長10回表に一気に3点入れた。私達はそこから見た。ああ、今年もこれで終わりだと思っていた。 球場の興奮が伝わって来る。ああ、あの、応援席にいたい。ロッテがクライ…
「始まった」
「明日はテレビの前に釘付けだわ」 一昨日そう言っていた同僚も家で見ていただろう。 ホームのテレビはもちろんWBCだが、次から次にトイレに行く爺様婆様の対応で忙しい。メキシコ戦は視界にチラチラと見えてくる程度だが、山場の連続だという事は分かる。 最後は信じられないような村上様の活躍。三振が続いていたカミサマに巡って来たドラマチックな場面。 こんな凄い試合は二度と見られないだろう…
「突然の爆発音」
いきなり今までの人生で経験した事のない爆発音のような大きな音が響き渡った。18時40分くらいだった。 怖かった。小雨が降っていたが雷など全く鳴っていなかった。 何処かの車が反応して警告音が鳴り出したが、直ぐに止んだ。 北朝鮮のミサイル？何処かに飛行機が落ちた？何でもありの世の中だ。 さあ、今から本が読めると炬燵に潜り込んだところだった。 テレビを点けた。何も報道して…
「帰らぬ人」
駅チカの飲み屋街に差し掛かった。店の外に設えた席はほぼ満席で、ビール片手に笑顔がこぼれる。 丁度信号で止まったので、何度も振り返ってその光景を眺めた。気温は快適。夏の夜の生暖かい空気の中に風が心地よく流れていた。 家を出たのは夕方６時過ぎていたが、夏至が過ぎたばかりで十分明るい。 若い娘の姿も多く、浮かれた高い声も聞こえた。コロナなど存在しなかった頃と何一つ変わりのない週末の金曜日がそこに…
「11年後の311」
「あの日、○○病院で働いてたのよ。帰りに信号が消えててね。怖かったわ。暗い中にうちのマンションだけが明るく見えるの。自家発電で明かりがつくのよ」 同僚が言う。11年前の3月11日。14時46分。 「私は学校にいました。部活動してたんです。泣き出す子もいました。男子でも。」 「その後どうしたの？」 「グランドに集められました」 20代の同僚は中学生だった。 私は家にいた。仕事から帰った息子…
「東京大空襲」
テレビに津波に押し流され土台だけになった、かつて街があった場所が映った。隣にもよく似た写真が並ぶ。辛うじてビルは建っているが、破壊の跡が生々しい。 爺様が何か言ったので声を掛けた。 「今日は東京大空襲ですね」 ニュースはその記念行事を伝えていた。今年は戦後77年。爺様の年と同じだ。77年は人の一生に近い。 爺様は戦争を知らない。私だって知らない、はずだった。ところが、現実に戦争が始まってし…
「夜になると何度も聞こえてくる」
また聞こえて来た。ヘリコプターの音だ。あの音に似た音を、恐怖に震えながら聞く人達がいる。 去年暮れ辺りから頻繁に聞こえて来るようになった。それも決まって夜暗くなって直ぐの時間だ。 一度仕事帰りに目の前を低空で横切って行った。自衛隊機ではない。 近くには自衛隊の駐屯地があるし、飛行場もある。昼間低空を自衛隊機が飛ぶ事はよくあり、ヘリコプターも自衛隊だと思っていた。 スマホ様に聞いた。民間の…
「弱い者が生き残る」
玄関に黒い物体がある。ザリガニだ。元気なヤツが逃げ出したのだ。弱っている。 都会の汚れた側溝に思いがけず沢山ザリガニがいる事が分かり、孫は大して興味を示さなかったのに、大人達が喜んで釣り上げた。 また側溝に戻すというのでもらって帰り、水槽で飼った。持ち帰る途中で一匹逃げられ、水槽で飼っているうちに一匹死に、２匹になった。 一匹は王様然とした堂々たるザリガニで、もう一匹は足が殆どなくなった小…
「男子400メートルリレー」
今女子マラソンを見ている。直前に午前６時出発に変更された。 走る姿はカッコいい。あんな風に走れたらさぞや気持ちいいだろう。 走れずに悔し涙を流す事になるなんて夢にも思わなかった。 楽しみにしていた男子400メートルリレー。もうオリンピックが終わると思っていた。あとにはコロナが残るだけだ。 遅い時間だった。仕事でクタクタだったから眠らないように気を付けた。 バトンタッチは難しい。二人が…
「あの日よりずっと怖い」
まさか。間違いない。咲いている。地面からひょろりと伸びた細い茎に蕾が付いたのは知っていたが、咲くまでは確信が持てなかった。 スマホを地面すれすれに構える。すると画面にマイクロレンズと表示が出た。スマホのカメラはマクロレンズまで装備しているのか。 山野草に会いたいという焦りのような気持ちを庭のこの花が宥めてくれた。 下向きの地味な花だ。外側は薄い緑色だが、中側は紫色の斑点で化粧している。名前…
「強い揺れだった」
漸く動悸がおさまった。珍しく早目に寝入ったところだった。いきなりのスマホの警報。同時に揺れが始まった。布団から飛び出した。 部屋の入り口を開け、息子を呼んだ。返事はない。玄関の戸を開けた。ますます強くなる。誰も外に出ていない。 小さくなった。リビングに行きテレビを点ける。女性アナウンサーの声が聞こえる。緊迫感はあるが不安を煽る感じはなく、正確な情報を伝えようとしている。娘にラインした。 長…
「去るのを待つしかない」
「どいて下さ～い」 走って行く方向にまたいる。私はどいてくれると思っているから友好的に言った。 どかなかった。さすがに一㍍程の距離を走り抜けるのは恐怖感がある。 仲間と走る市民の森にはいつも烏の鳴き声がしているが、姿を見ることは殆どなかった。 それが、最近よく地面にいる。仲間は「おはよう」と声を掛けたりしていた。 今は私一人。勝てると思えない。あっ、ザリガニに続いて弱気になっている。 …
「金のかからない楽しみ」
窓際に登山靴、こちら側にリュックがある。 どちらも雨の日光白根山で活躍したから汚れた。洗って乾いたが、片付ける気になれない。 リュックの中には雨具と着替えを詰めてある。 東京だけでなく全国的にコロナの感染者が増えている。 半額補助という言葉に引き寄せられるGoToキャンペーン。 駅ビルの一階にある旅行会社の中には珍しく客がいる。表の立て看板にGoToキャンペーンのお知らせがあるので、足…
「風が止まない」
これ以上は我慢出来ないかもしれない。もう45度程傾いている。 昨日、温泉に行った。始めての温泉は臭いもなく透明で特徴もなかったが、シャワーが取り外せない古い造りで全体の雰囲気もなかなかよかった。 脱衣所には数人しかいない。話し声も聞こえない。 鏡の上に設えたテレビから目が離せなくなった。濁った水が大量に流れている。音声は聞き取れない。テレビに近付いた。 髪を乾かしていた女性が顔を上げた…
「花を植える男」
タイトルはあの絵本ジャン、ジオノの『木を植えた男』からの連想。 明日緊急事態宣言を出すと言うから、いや、家にずっといるのも太るだけなので、市内の公園に行った。 自然のままの池の周り一キロ程度がコンクリートの遊歩道になっている。桜と新緑。文句なしの景色だ。 私は運動よりもカメラを取り出した。ハナニラが可愛い。 道に戻ると、婆様が二人、私のいた場所を指差して見ている。 「何を見ているんで…
「妊婦は真っ先に休ませて」
土日は外出自粛で翌日から学校再開はおかしいと誰もが思うだろうが、千葉県は５日に今月末まで県立学校の一斉休校を発表していた。県立は主に高校。 小中学校は、千葉市が今月12日まで、船橋市は5月6日まで休校と４日に決めている。 千葉県の感染者は4月3日に20人、4日が25人、6割以上が感染経路不明。 4月1日から4日までの感染経路不明者30名中13人が都内への通勤者だという。 千葉県から東京に…
「『三密』を避けて」
「イエィ！」とも「ヒュー！」とも表現できる若者特有の叫び声が聞こえて来た。 構わず歩いて行く。ここまで来て引き返す訳にはいかない。数人の若者が地面に何か機械を置いて集まっている。ダンスの練習なのだろう。 風が台風並みに吹いている。野外音楽堂だ。5年前、ここを走った。走り出して始めてのマラソン大会だった。 海が見えた。人が大勢いる。砂が白い。 以前来た時は工事中で、白い砂を入れていた。千葉…
「おうちでオルセー」
おまけにウチに居ながらにして山野草が見られる。 ハッカクレンが二種類。もうこれは一目惚れ。見た瞬間に心を持って行かれた。 一つはたった一本。葉は一枚。肉厚で白い斑入りのお洒落さん。数えると確かに角が八つある。 もう一つは鉢全体に何本も出て来て、葉の切れ込みが深い。こちらも一本の茎に葉は一枚だが、6,7枚に分かれている。 そしてヤブレガサ。名前の通り。一つは四本出て来て背が高いモデル並み。…