陸橋歩む青空を独り占め



 われら帆のごと陸橋の夏の暮  永島靖子

 桃遠く咲く陸橋に少年暮る  宮坂静生 山開

 寒の終り陸橋に風執着し  佐藤鬼房

 町凍る陸橋の裾引き入れて  宮津昭彦

 使われず陸橋の青冴え冴えと アロマ

 夜勤明けの男陸橋越すとき汽笛  古沢太穂 火雲

 陸橋から穂芒もレールも夕日の中  シヤツと雑草 栗林一石路

 陸橋のらせん階段樟若葉  森田 たえ

 陸橋歩む青空を独り占め アロマ

 陸橋に雲うつくしく旅了る  藤木清子

 陸橋の高きを渡り山櫻  山西雅子

 陸橋の坂ゆるやかに朧月  秋元波末子

 陸橋の高きを渡り山櫻