宵闇にも春の気配溢れて



 雨上る気配に高き秋燕  高浜年尾

 下萌ゆる気配の土となつて来し  富田直治

 宵闇にも春の気配溢れて アロマ

 衣かけてくれし気配や昼寝覚  岡田和子

 とかくして古町秋の立つ気配  浅井青陽子

 樹々芽吹く気配の濡れし闇に触れ  福田蓼汀 秋風挽歌

 洲分かれをつなぐ気配の芦の花  竹中碧水史

 自動車の止りし気配春の闇  星野立子

 鹿威し茶室に人の気配して  柚山美峯

 春時雨なか~上る気配なく  高浜年尾

 雪となる気配に開く白牡丹  梅田男

 補聴器に冬の近づく気配かな  窪田光楓

 夕立の気配たちまち音となる