タイトルはあの絵本ジャン、ジオノの『木を植えた男』からの連想。
明日緊急事態宣言を出すと言うから、いや、家にずっといるのも太るだけなので、市内の公園に行った。
自然のままの池の周り一キロ程度がコンクリートの遊歩道になっている。桜と新緑。文句なしの景色だ。
私は運動よりもカメラを取り出した。ハナニラが可愛い。
道に戻ると、婆様が二人、私のいた場所を指差して見ている。
「何を見ているんですか?」
「タヌキよ」
「エエッ?!タヌキがいるんですか?」
「あら、貴女も撮っていたんじゃないの?」
「私はハナニラを撮っていたんです。タヌキって、あの狸で