読売俳壇:4月7日(火)掲載
初蝶の風にもつれて風となる 鹿児島・福寿美智子
(評)早春に見かける初蝶は、小型の紋白蝶または紋黄蝶など。風に吹かれて、目の前に漂ってくると、また
もつれるように虚空へ舞い上がる。二つの風のリフレインが、頭韻の動きを持ち、詩的効果を高めている
きぎす鳴くひと山越えて母の許 薩摩川内・石堂絹子
春暁の沖より明くる蜑の町 薩摩川内・大平正通
新燃のくすぶる煙り野海棠 霧島・尾上春風
遠汽笛記憶の海へしじみ蝶 霧島・神崎義史
休校のぶらんこしょんぼり日は落ちて 鹿屋・川上和子
天降川