許されざる愛

 深水黎一郎の「テンペスタ-天然がぶり寄り娘と正義の七日間-」を読了した。著者は、メフィスト賞出身のミステリー作家であるが、慶應義塾大学大学院後期博士課程単位取得退学(仏文学専攻)、パリ第12大学博士課程研究専門課程(DEA)修了という異色の経歴の持ち主で、「薀蓄」系のミステリーが得意とされているが、マスコミ、特にTV業界の批判を繰り返していることで知られている。本書は、田舎に住む弟の娘を夏休みに一週間預けられ、東京で面倒を見ることになった賢一の波乱の一週間を描いた、薀蓄ミステリ作家の著者の作風とは少し異なる作品である。
 東京の大学で、美学の非常勤講師