タバスコの入ったプファンクーヘン

 米澤穂信の「巴里マカロンの謎」を読了した。著者はミステリー作家で、古典部シリーズや小市民シリーズ等の、いわゆる日常の謎を扱い、青少年を主人公とした爽やか系の青春ミステリーが多いが、実験的な手法を用いた作品も多く、ミステリー自体は本格派である。本書は、小市民シリーズの11年振りの新作で、四篇からなるミステリーの連作短編集である。本書の主人公は船戸高校1年生の小鳩常悟朗と小佐内ゆきの二人で、二人はともに推理力に優れるが、そのために中学生時代に問題事に顔を突っ込んで痛い目にあったため、高校では二人で協定して、お互いに小市民であろうと努めている。しかし、日常の