だが、そのなかにナオの名はなかった
陽一は愕然とし
あきらめに近い心情になり始めたとき
6番目のコール
「フレンジー・ナオ、JAPAN!」
6人中最大の歓声がわいたとき
陽一は全身にふるえがきてとまらなかった
『ナオがついに決勝に進んだのだ!』
となりのロシア人の男が陽一に叫んだ
「俺の見ぬいたとおり!
NAOが全体1位で本選にすすんだのさ」
翌日の新聞の文化欄は
大きな見出しで報じた
『卓越した西洋のヴァイオリニストたちに
まじって、東洋の少女がたった1人
決勝に進んだ…』
そのとき
そんな記事の文字のうしろから
以前ナオがジェニ