読書「プリズンホテル 夏」浅田次郎

 初刊1993年というから27年前になる。浅田次郎の直木賞受賞作「鉄道員」が1997年なので、この作品はウォーミングアップと言ったところか。

 極道小説で巷の人気をさらっているのは木戸幸之介。「東大なんて楽勝だと豪語していたガキがよ、ワセダの二文まであっさり落ちて、おまけに駿河台予備校の試験まで落ちてよ」と木戸孝之介を揶揄しているのは、孝之介の叔父でやくざの木戸仲蔵親分なのだ。

 孝之介の父の七回忌に白いベンツでやってきた仲蔵オジが「リゾートホテルを始めた」という。なんでまた酔狂なと思われるかもしれないが、もちろん抵当流れの物件ではあるが、やくざ者が