浦和散歩 ー立葵と股旅時代劇ー

「うらかなし葵が天へ咲きのぼり」(三橋鷹女)

この時季になると立葵の花が目に付く。散歩の途中の床屋の店先に立葵が赤と白の花をつけるのはここ数年見慣れている。あゝ咲き始めたな、としばらく見上げていると店先から小柄な女性が出てきた。「今年も咲きましたね」「そう、でもいつも思うの。すぐに伸びちゃって私を偉そうに見下ろしているようで癪に障るのよ」「金も要らなきゃ名もいらぬ私ゃも少し背が欲しい、かな」笑いながら「憎ったらしいことを言うおじいさんね」「おじいさん?!でも奥さんは背筋がピンと伸びて葵みたいですよ」「あら!奥さんなんて呼ばれたの、久しぶりよ。更におまけ